新型コロナウイルスの変異株とは? 特徴や従来のウイルスとの違いを解説
新型コロナウイルス感染症が猛威を振るうなか、従来のウイルスより感染力が強いとされる“変異株”の感染が拡大しております。 世界でも変異株が確認されており、国内では新規感染者の8割を占める地域もあるようです。 この変異株とは、一体どのようなウイルスなのか、従来のウイルスとどのような違いがあるのか、新型コロナウイルスで広がる変異株の特徴や従来ウイルスとの違いなどについて解説いたします。
目次[非表示]
- 1.変異株(変異ウイルス)とは?
- 1.1.変異自体の定義
- 1.2.新型コロナウイルスの変異株
- 2.従来のウイルスと違う 3つの「特徴」
- 2.0.1.■感染力が高い(増加する)
- 2.0.2.■重症化しやすく死亡リスクが高い
- 2.0.3.■免疫逃避を起こす(ワクチン効果が減弱する)
- 3.変異株の種類
- 3.1.VOC(Variants of Concern)
- 3.1.1.■VOC-202012/01
- 3.1.2.■501Y.V2
- 3.1.3.■501Y.V3
- 3.1.4.■P.3系統
- 3.2.VOI(Variants of Interest)
- 3.2.1.■R.1系統
- 3.2.2.■B.1.427およびB.1.429
- 4.変異株への対策
- 5.まとめ
変異株(変異ウイルス)とは?
変異自体の定義
ウイルスの遺伝子情報が突然変異し、形や特徴が変わったウイルスのことを変異株(へんいかぶ)といいます。遺伝子情報は変異していていますが、ウイルスとしての基本的な特性は引き継がれています。
代表的なウイルスに、インフルエンザウイルスが挙げられます。
変異株は、「変異ウイルス」と呼ばれることもあります(変異株と同じ意味として用いられています)
新型コロナウイルスの変異株
新型コロナウイルスの変異株は、スパイクタンパク質という部分に特異的な変異が起きており、従来のウイルスよりも感染力が強く、免疫機能を回避させる可能性があると指摘されています。
従来のウイルスと違う 3つの「特徴」
従来のウイルスとは形や特徴が異なるものの、ウイルスとしての特性は同じです。変異株のウイルスは、遺伝子情報の突然変異を繰り返すことによって従来のウイルスと異なり、たえず変化している特徴があります。
■感染力が高い(増加する)
従来のウイルスよりも、感染力が強くなっている特性があり、人から人への感染が広がりやすく、従来の約1.7倍の感染力があるといわれています。
■重症化しやすく死亡リスクが高い
感染力の強さから、重症化しやすい可能性が示唆されており、アルファ株(イギリス型変異株)では、従来のウイルスよりも死亡リスクが高いと考えられています。
■免疫逃避を起こす(ワクチン効果が減弱する)
抗原性の変化により、人の免疫から逃れるための免疫逃避が起こる可能性が示唆されております。人の免疫やワクチン接種による抗体が効きにくくなると考えられており、新型コロナウイルスの変異株にはさまざまな種類がありますが、その中でも注意が必要な変異株があります。
変異株の種類
WHO(世界保健機構)は、新型コロナウイルスの変異株を大きく2つ(VOC/VOI)に分けており、国内の変異株では、VOC(Variants of Concern)は4種類、VOI(Variants of Interest)は3種類に分類されています。
VOC(Variants of Concern)
世界保健機関(WHO)が「懸念される変異株」として分類している変異株を表し、人への感染力の増加や重症化のしやすさ、免疫やワクチンの効きにくさなどが実証されています。
■VOC-202012/01
アルファ株(英国で確認された変異株)で、スパイクタンパク質の23か所が変異します。主要変異は、deletion 69-70、deletion 144、N501Y、A570D、P681Hになります。
従来よりも感染力が強く、重症化のリスクが高いとされており、免疫やワクチンの効果を低下する可能性があると言われています。
■501Y.V2
ベータ株(南アフリカで確認された変異株)で、スパイクタンパク質の8か所が変異します。主要変異はK417N, E484K, N501Yになります。
従来よりも感染力が強く、重症化のリスクが高いとされており、免疫やワクチンの効果を低下する可能性があります。
■501Y.V3
ガンマ株(ブラジルで確認された変異株)で、 スパイクたんぱく質に12か所が変異します。主要変異はN501Y、E484K、K417Tになります。
従来と比べて感染力が増加する可能性、免疫やワクチンの効果を低下する可能性があります。
■P.3系統
フィリピンで確認された変異株で、E484K, N501Yの両方に変異します。
従来よりも感染しやすく、免疫やワクチンの効果を低下する可能性があります。
表 新型コロナウイルスの懸念される変異株 (Variants of Concern; VOC) (P.3系統を除く)
https://www.clinicfor.life/views/uploads/2021/04/covid19-41-20210407-tbl.png
VOI(Variants of Interest)
世界保健機関(WHO)が「注目すべき変異株」として分類している変異株を表し、検疫や国内で確認されおり、感染力増加や重症化などに影響を与える恐れがあるとされています。今後、注視していく必要がある変異株です。
■R.1系統
起源不明の変異株で、E484K変異を有しています。免疫やワクチンの効果が効きにくくなる可能性があると示唆されていますが、人への感染性や伝播性に影響を与える変異は認められていないようです。
■B.1.427およびB.1.429
米国で確認され、米国では懸念される変異株としてVOCに分類されています。スパイクタンパク質の主要変異はL452R、D614Gの部分になります。感染や伝播性の増加、一部の治療薬効きにくくなる可能性が示唆されております。
変異株への対策
ワクチン接種
現在の新型コロナワクチンは新型コロナウイルス変異株への効果があるとされております。ファイザー社製の新型コロナワクチンは、変異株に効果があるとの実験結果が出ています。
日常での生活・習慣
基本的な対策は、従来型ウイルスと同じで、「手洗い、うがい、アルコール消毒、マスク着用」などになります。人への感染力の増加が懸念されるため、人混みを避けて集団感染が発生しないような対策が必要です。集団感染のリスクが高い会社や医療機関、学校、高齢者施設等はとくに注意が必要です。
また、感染の早期発見と、感染者と濃厚接触者を速やかに洗い出し、感染拡大を防ぐことが重要になります。感染の可能性が考えられる人には、抗原検査やPCR検査キットを用いた検査を実施するすることをお薦めします。
まとめ
現在も新型コロナウイルスの変異株の感染が広がっております。特に大阪府と兵庫県を中心に国内にも感染してきました。従来のウイルスよりも感染力が強く、重症化や免疫機能の低下なども懸念されております。従来型の新型コロナウイルス同様、生活・習慣の対策はより慎重かつ意識することが重要であり、変異株の感染拡大を抑えるために、早期発見のための積極的な検査の実施が望まれます。
新型コロナウイルスの検査として、検査してから短い時間で検査結果が判明する抗原検査キットをご利用されていは如何でしょうか?
サステナブル・プランニングでは抗原検査キットを販売しております。詳しくはこちら。