コロナワクチンのブースター接種は必要?

新型コロナウイルスワクチンの接種が進み、国内でも半数以上の方が2回目接種を終えているなか、3回目となるブースター接種が12月より開始されました。
ワクチン接種によって新型コロナウイルス感染症の感染・重症化予防の効果が期待されているが、なぜ3回目が必要とされているのでしょうか?


ブースター接種とは

ブースター接種とは、2回の接種を終えた人を対象に行う追加接種のことを言います。
ブースター接種には時間とともに落ち込みするとされているワクチンの感染予防効果や重症予防効果などを高める効果があると報告されていることから、感染拡大防止・重症化予防の観点から行われます。

国内におけるブースター接種(3回目接種)の現状


2021年12月1日より、国内で3回目接種となるブースター接種が開始されています。

▼対象者
・2回目接種から原則8ヶ月経過した方
・18歳以上の方
・国内で初回接種または初回接種に相当する接種が完了している方

▼接種場所・手続き
・原則、住民票所在地となる市町村にある医療機関または接種会場
・追加接種用の接種券とお知らせが市町村より送付される

▼費用
・全額公費となるため無料


国外におけるブースター接種の動向


一方、国外では日本よりも早くブースター接種を実施している国もあり、各国の動向をみてみましょう。

▼イスラエル
・2021年7月より、免疫不全者に対して追加接種を開始
 ※その後対象者を拡大
 
▼米国
・2021年8月より中等度~重度免疫不全者に向けて追加接種を開始
 ※その後対象者を拡大

▼英国
・2021年9月より免疫不全者を対象に追加接種を開始
 ※その後対象者を拡大

▼フランス
・2021年4月より免疫不全者を対象に追加接種を開始
・上記対象者以外は9月より開始 ※その後対象者を拡大
・今後、65歳以上には追加接種を義務付ける方針

▼ドイツ
・2021年9月より、免疫不全者や感染リスクが高いとされる人を対象に追加接種を開始
 ※その後対象者を拡大

▼カナダ
・2021年9月より、免疫不全者を対象に追加接種を開始
  ※その後対象者を拡大


なぜブースター接種が必要なのか?


そもそも、なぜブースター接種が必要なのでしょうか?
ワクチン接種後の感染・重症化予防効果は時間の経過とともに低くなるため、3回目のブースター接種が必要との見解があります。


ワクチンの感染・重症化予防効果が薄れていく理由に、接種後に体内で生成される「中和抗体」が時間が経つにつれて減少することが分かっているためです。

この「中和抗体」がウイルスの働きを抑え、感染を防ぐ役割を持っており、中和抗体の減少が感染・重症化予防効果の低下に繋がっています。


そして、ブースター接種で交差接種を行うことで、抗体値の上昇が見られるとの報告もあがっています。

<各社ワクチンの2回目接種後に感染予防効果>
◆ファイザー社:1ヶ月以内:88%
       :5~6ヶ月後:47%

◆モデルナ社:1~4ヵ月以降:97%
      :上記の4ヶ月後:80%前後

◆アストラゼネカ:2~9週:66.7%前後(最大)
        :上記の20週以降:47.3%

参照元:厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A_なぜ、追加(3回目)接種が必要なのですか。」

※ワクチン接種で獲得できる中和抗体の量や質には個人差があります。



ブースター接種で期待できる効果

3回目のワクチン接種によって体内で生成される中和抗体価は、2回目接種後と比較して上昇していることが報告されています。
ブースター接種を行わない場合と比較して感染予防・重症化予防の効果が高まることが期待できます。

参考:厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A」

参考:厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A_追加(3回目)接種には、どのような効果がありますか。」


中和抗体価の上昇により、低下した感染予防・重症化予防の効果が高まると報告されています。
◆ファイザー社
 └2回目接種後1ヶ月と3回目接種後1ヶ月を比較した場合
 野生株:18~55歳 5倍以上/ 65~85歳 7倍以上
 デルタ株:18~55歳 5倍以上/65~85歳 12倍以上

◆モデルナ社
 └2回目接種後と3回目接種後14日後を比較した場合
  野生株:約23倍(198→4,588)
  ベータ株:約32倍(27→864)
  ガンマ株:約44倍(30→1,308)
  デルタ株:約42倍(30→1,268)

◆イスラエルで実施したファイザー社ワクチン接種後の追加接種の調査
 入院予防効果:93%
 重症化予防効果:92%
 死亡の予防効果:81%
※60歳以上の追加接種では、受けなかった場合と比べて発症率が11.3分の1、重症例の発症率が19.5分の1まで減少


ブースター接種によるワクチンの交互接種・副反応


ブースター接種では1回・2回目に接種したワクチンに関わらず、mRNAワクチンの使用が適当とされています。

現在、国内で薬事承認されているmRNAワクチンは「ファイザー社のワクチン」「武田/モデルナ社のワクチン」になります。


また、追加接種で異なる種類のワクチンを投与する交互接種は、米国をはじめとして複数あり、米国の調査では交互接種による中和抗体価の上昇効果も良好と報告されています。

【 副反応の違い 】
海外の臨床試験の結果では、ファイザー社も武田/モデルナ社も、ブースター接種後の有害事象の発現傾向と比較して同程度とされています。

ただし、初回接種時と比較して5%程度、リンパ節の腫れの発現割合が高いことが報告されているようです。
また、交互接種と同種接種においても差がないとの報告もあがっていますが、副反応は個人差が大きいため、引き続き慎重な判断が必要になっています。


まだ新型コロナウイルスの流行は収束しませんが、皆さんや皆さんの大切な方々が安心して過ごせるよう新型コロナウイルスワクチン接種後に中和抗体検査を受けて抗体の有無を確認してみましょう。

どうか皆様体調管理、予防の徹底を行いウイルスに打ち勝っていきましょう。




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